種類・区別 時代別特徴

仏像の特徴はその時代ごとに時代背景も大きく関与し変化している。例えば飛鳥文化(6世紀末〜7世紀半ば)は日本最初の仏教文化であり南北朝文化の影響さらには国際性豊かな文化…ギリシア・ペルシア・インドなどの影響を受けた文化である。
仏像彫刻に焦点を充ててみていく
A.特徴
(a) 金銅仏が多い(資料集には木造が多く掲載されているが…)
(b) 中国南北朝文化の影響
・古式の微笑み(アルカイック・スマイル)、面長な
・扁平な体つき←石窟寺院の影響
B.主な飛鳥仏
(a) 北魏様式…力強く男性的、杏仁形の眼、仰月形の鋭い唇、左右対称の幾何学衣文、扁平な体つき
(b) 南梁様式…長身、丸み、変化に富んだ衣の線
* 飛鳥文化…6世紀末〜大化改新(645)の文化、中心人物 = 聖徳太子
* 白鳳文化…大化改新(645)〜平城京遷都(710)の文化、中心人物 = 天武・持統天皇
* 天平文化…奈良時代(710〜794)の文化、中心人物 = 聖武天皇
* 弘仁・貞観文化…平安時代前半(794〜9世紀)

仏像は神仏の伝道を目的としてその主祭場である寺院に安置するためのものであり、仏教的な「祈りの造詣」が最重要視され、それぞれの宗派の様式・作法に基づいて制作されたものです。仏教が我国に導入されて以降数多くの信仰が生れました。揺れ動く時代ごとに信仰もまた変化し、仏に対する人々の思いも変化しました。

しかし、一貫して変わらないのは「祈りの心」で、仏教美術の最大の特徴は作者の「信仰心」がそのまま作品に反映されることでしょう。その時代に生きた作者と制作依頼者の命が与えられ、多くの人々が手を合せて祈って来た眼に見えない歴史があります。仏に込められた多くの人々の願いや背負っている長い歴史、それらが敬虔に守り伝えられているか否か、それが真価であり本来の「御仏の命」です。寺院に安置されている古代仏が醸し出す、あの敬虔で圧倒的な存在感。それこそが「御仏の命」の重さであり、長い時の重さです。推し量れる過去の重さが現在の価値であり、更に未来への価値になります。御仏の命が、観る者に語りかけてくるのです。


時代年表
飛鳥時代 白鳳時代 天平時代 弘仁貞観時代 藤原時代 鎌倉時代 室町時代 江戸時代
姿勢正面 直立不動の姿勢.動きが少ない。衣文ほぼ左右対称 直立の姿勢だが両手に多少の動きをみせ左右対称形を脱し始める 腹部のひねりなど身のこなしが自由 全体に動きがみられる。多少誇張した表現を伴う 動きが少ない。静かな姿態 動き激しくダイナミック。全体に力がみなぎっている 主として天部の正面
姿勢側面 腹部前傾 腰を前に突き出しS字形 偏平 頭部直立 腰は突き出している。そり見肉付きはややよいがまだ扁平 そり身の感は少なくなりどっしりした側面。胸から肩へ肉付きがよい 肉付きがよい。胸から肩への肉付きは引き締まる 直立 やせ形 特に末期には胸腹うすくなる。 抑揚があり量感もある動き 賞の衣文に写実性 立像の側面
如来服装 北魏式厚手の法衣 薄手のインド式法衣 衣文は流麗 納衣をまとうだけ 写実味が加わる 胸が厚く極めて膝高が高い、疎波式衣文 渦巻文がみられる 納衣の彫りが浅く皺の数も少ない。胸が薄く広く膝高が低い 胸が厚くもりあがり膝高も高くなる
菩薩服装 左右対称 衣文も現実的でなく抽象的 天衣・裳が長い 左右対称 薄い裳を通して脚部の曲線を感じる 裳裾が短い 形式的ではあるが写実味が加わり自然に近くなる 躍波式衣文 天衣も自由で体の動きを表現している。裳裾は比較的長い 形式的に整った衣文 彫りが浅く静かな印象を受ける 宋風の影響で複雑に乱れる襞を写実的にあらわす
裳裾 裳裾(飛鳥.白鳳.天平.貞観.藤原.鎌倉.江戸)
頭部 頭部(飛鳥.白鳳.天平.貞観.藤原.鎌倉.室町.江戸)
面長 杏仁形の眼 古代の微笑 童顔 全体に丸みがあり優しい口元に微笑 頬が膨れ張り切った顔付きで大人を思わす威厳がある やや面長ひきしまった顔つき 表情に厳しさを示し口を強く結ぶ 丸く優美な顔 眼は伏目 天平時代に似るがより現実的 表情は意思的で威厳がある 卵型 うりざね顔
不動明王天地眼 正眼 末期頃より表れて来る 多くなってくる 殆どこの形になる
菩薩垂髪 蕨の形をした蕨手の頭髪 やや毛筋が入りかなり写実的。上腕の中程まで伸びている 毛筋を克明に表現上腕の中程まで伸びている 幅広になり短くなる 著しく少なくなる。柔らかな表現 垂髪は極めて稀になる。あっても形式化している
台座蓮華座 素弁、反花はあるが蓮肉部に蓮弁がない くるみ形 蓮弁の先がとがる。魚鱗葺が多い 蓮弁がうすくなる。吹寄せ葺きが多い 写実的な連弁になる。魚鱗葺が多い 魚鱗葺きが殆ど
蓮肉部 蓮肉部(飛鳥.白鳳.天平.貞観.藤原.鎌倉.江戸)